廃墟　伊万里川南造船所 カテゴリ：廃墟・戦争遺跡　　地域：佐賀

　
佐賀県伊万里市。
そこに造船所の跡地があった。



その名も伊万里川南造船所。
普通にのどかな田園風景の中にある。
田んぼの中にこんなコンクリートの遺構があることが異様な雰囲気だ。






この廃墟は植物の侵攻がすごい。
夏場の訪問ということもあったが、とてもじゃないが前に進めない。
回り込んで入れる場所を探す。



さぁ、うまく中に入ることができた。この工場。
かつてはガラス工場だったのだが、1940年に川南工業が工場を取得。




最初は造船所として輸送船を造っていた。
1940年当時は日中戦争の最中。輸送船も必要だったのだろう。




そして、日米が開戦した翌年の1943年に軍需工場指定を受けた。




「安全は器具と心のおきどころ」
当時の安全に関する意識はどのようなものだったのか。




ちなみに２階建てなのだが、
２階へ行くためのアクセスルートは消失しており、行くことは出来なかった。




２階からだらーんと垂れた金属。
これは何なんだ？




軍需工場となってからは輸送船のみならず、
人間魚雷の回天や海龍などが造られていた。




海龍は聞いたことは無かったが、
本土決戦用に造られた人間魚雷で、実践投入される前に終戦を迎えたもの。




造船所はかなり広かったが、
中は残留物は全くと言っていいほど無く、当時の様子を知ることは難しかった。
２階を見てみれば何かあるのかもしれないが。




一部の壁には落書きがされていた。
ホントにどこにでもこういうことをするやつはいる。




戦後経営母体が変わるが、結局昭和30年に閉鎖となった。
その後50年以上そのままの状態で放置されていた。




奥にあった広いスペース。
ここは天井が丸い窓になっており、
差し込む光が天然のスポットライトになっていた。




かなり広い空間。
実際に船が造られていたのはここなんだろうな。




ここも植物がすごい。
まるで植物園のようになっていた。




軍需工場となってからは学徒が動員され、
数千人の人が働いていた。




その中には女子もいたことだろう。




自分と同世代の男子が乗るための人間魚雷を造る。
彼女らはどのような気持ちだったのだろう。




海へ進む道は植物が生い茂り、もはや海へは進めなかった。
50年という歳月がここをこのように変えた。




ちなみにこの廃墟は2012年に解体されており、
跡地は公園とする予定だそうです。



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